2019.8.7 プロジェクト

紫竹の家

京都を拠点にしている文化財修復会社からの依頼で、会社関係者の知人が住まう家を提案した。
計画にあたっては、文化財修復の伝統技術を生かせる部分があることが求められた。とはいえ、予算は限られていたため、仕上等は安価なものもうまく併用する必要があった。

また、空間構成としても、伝統技術を生かせるスペースを限定するため、エントランスホールを境に左右に空間を分けることで、和室やエントランスホールなどを伝統技術を生かすスペースとしてゾーニングした。

定年を機に東京から京都に戻ることになったオーナー家族のための住宅である。
オーナーの要望の大きなものに比叡山を望める場所が欲しいというものがあった。
細長い敷地の奥、しかもその3階床レベルで比叡山が見えるため、その要件を基準として全体の構成をスタディし始めた。予算のこともあり、木造で3階建ては難しいと判断し、2階建てで屋上にテラスを設け、テラスから比叡山を望めるよう考えた。

周辺は住宅が建てこんでいる場所であり、細長い敷地に細長い建築をただ建てるだけでは、風や光はうまく取り込めないため、手前・真ん中・奥と3棟のボリュームに分け、それぞれの高さや幅を変えることで、それぞれの棟の間で隙間を作り、その隙間を開口として快適な空間となるように構成を考えた。